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DynastyOfficialBLOG 「Mathews TITLE 忖度なしレビュー②(実射編)」佐々木淳二

       
アーチェリー記事

こんにちは。佐々木淳二です。

前回はTITLE38のスペックについて触れてみましたが、
今回は実際に射ってみたレビューをお伝えできればと思います。

実際に射ってみた感想ですが、率直に「とても良い!!」でした。

弓のバランスがよく、とてもコントロールがしやすいです。
レジスタンスフェーズダンピングがかなり効いていて振動が少なく、静粛性もTRX以上で、射っていて気持ちがいいです。
TRXは振動によってネジが緩んだことがあったのですが、今回は改善されていると思います。

今回一番の特徴としては「リムの角度が立った」ことだと思います。
TRXはパラレルリムで弓の飛び出しがほとんど無く、それを嫌うアーチャーもいました。
今回はバーティカル寄りのリムポケット角に変わっています。

実際、私も飛び出しを無理やり作るためにセンターロッドにウエイトを多く積んでかなりの前重心で使用していました。
それでも左右のトルクに弱く、リリースの瞬間にわずかに弓が左右にぶれたり、斜め方向に飛び出したりすることがあり、グリッピングや押し方にかなり気を使う弓でした。

今回はその課題を改善してきており、言うなれば「HOYTのように前に飛ぶ弓」に仕上がっており、リリースした時に弓が素直に真っ直ぐ飛び出します。
また、カムシステムの変更も相まって左右のトルクに対する強さが上がった印象があります。

TRXは「ハマると当たるがピーキーな弓」というイメージが強かったので、全体的にかなり扱いやすくなりました。

ただ、本体の軽量化とデザイン変更によってTRXとはバランスが変化していますので、そこは別物と捉えた方が良さそうです。
私も以前は「センター22oz サイド17oz」だったのが、「センター24oz サイド24oz」の1:1バランスに変化しており、サイドロッドの角度もかなり変わりました。
(ライザーが短くなり、サイドブッシングの位置が上に上がっています)

ここは良くない

ここまでいい事ばかり書いてきましたが「忖度なしレビュー」なのできちんと欠点も書きたいと思います!

今の所使ってみて感じた欠点は「メンテナンス性の悪さ」です。
シューティング性能は上がりましたが、それと引き換えにメンテナンス性が犠牲になっていると感じました。

①ボウプレスが限定される

今回リム幅がかなり広くなったため、使用できるボウプレスが限定されます。まずシンナムのポータブルプレスが「おそらく」使えません。
(ワイドタイプがギリギリ使えそうな感じもしますが、弓の破損が怖いため試していません。試す際は自己責任で)

また、オプションとしてメーカーから「ステイ・アフィールドシステム」というストリングタイプのプレスが発売されています。
こちらは購入しましたが、使用の際にリムボルトを緩める必要があるので使うのが少し面倒でした。あくまでも出先での調整用といった要素が強く、弓の分解・フルリラックスはできません。

②ケーブル交換の際にカムの取り外しが必要

ケーブルを取り外す際、カムを取り外さないと交換ができない構造になっています。
他の弓のようにポータブルプレスでさっと弦交換ができないため、固定式プレスが必須です。お近くにプロショップがない方や、協会などでボウプレスを所持していない場合は注意が必要です。

③チューニングが合わせにくい

カムタイミングを合わせる際にケーブルを捻りますが、他の機種に比べ、少し捻っただけでカムがかなり大きく動きました
ケーブルが特殊な捻り方になっており、これが原因なのかと推察していますが(写真参照)

ケーブル半回転でもカム大きく動く印象です。そのため、細かいタイミング調整にコツが必要です。

④オプションとの相性

細かい点ですが、ワイドリム化により通常のキックスタンドが使用できず「マシューズ リムレッグス」が必須になります。
また、ライザーのデザインによりAXCELのTriLockサイドバーも使用できませんでした
(ライザーの形の影響でストッパーのバーが使用できないため、ただのサイドバーと同じになってしまいます)

このように、性能を追求しすぎたのかデザインにこだわりすぎたせいなのか、社外品パーツとの相性が少し悪いです。

まとめ

TITLEは、全体的にTRXシリーズで抱えていた課題をクリアして正統進化した弓に仕上がっていると思います。
的中性能、射ち感のフィーリングをはじめ、自分的にはかなり気に入っており来シーズンはこれで点数を狙いたいと思っています。

ただ、最初に書いたように「万人におすすめはできない」理由は、やはりメンテナンス性の悪さです。
また、Mathewsの弓は以前からそうですが、ドローレングス変更の際にカムモジュールを買い替える必要があるので、レングスが定まっていない初心者の方にもあまりおすすめできません。(円安の影響で現在1万円くらいします…)

また、前述したようにライザーの華奢さやリム部の耐久性も使い込んでみないとわからないので今のところ未知数です。

どのメーカーの弓でも良い点・欠点はあるものですが、
何れにしてもとても良い弓です!機会があれば一度試射してみてほしいですね。

以上、忖度なしレビューでした!

\ マシューズの幅広リムで使えるスタンド! /

この記事を書いた人

佐々木 淳二
現日本チャンピオンで日本記録保持者(50mラウンド707点)。北海道出身。地元・札幌でコンパウンドを始め、活動拠点を東京に移したのち50mラウンド700点アップ、複数回のトーナメント日本記録タイ記録、インドアホワイトバッジ取得と、名実ともに日本を代表するトップ選手のひとりとなる。2020年に全日本ターゲット選手権で初優勝を飾ると翌2021年に連覇を果たした。2021年10月の記録会にて、これまで6年間破られなかった50mラウンド日本記録704点を一気に3点更新する707点を記録、日本中に大きな衝撃を与えた。
Dynastyではアートディレクターとしてデザイン監修も務め、サマーシュートキービジュアルほか、ポップで明快かつ個性的なデザインで業界内外の信頼を集めている。