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DynastyOfficialBLOG 「エイムオフの方法 」菊地香緒里

       
アーチェリー記事

こんにちは!菊地香緖里です。

私はなぜか、よく試合や遠征に行く先々で雨が降ります。
悲しい事に、「雨雲を連れて歩いているのか?」と思うぐらいの雨女です…

さぁ、今日は試合だ!
と気合いを入れた日に、雨や風の天気だと、濡れるし寒いしで、少し残念な気持ちになりますよね。

私も濡れるのは嫌ですが、風や雨の天気でも不安になる事はあまり無く、練習通りの気持ちで試合に挑めていました。

それは、事前にしっかりと対策をして望むことが出来ていたからだと思っています。

大貫選手の「自然環境への対策」の記事にもあったように、気温変化に対応するための身の回りの用意をして試合へ望んでいました!

↓大貫選手の記事はこちらから

身の回りの対策と合わせて、技術的な部分の対策も出来るとより安心です。

“エイムオフと呼ばれる技術”

皆さんは矢を射ち始めたとき、雨が降ったり風が吹き始めたらどのように狙って射っていますか?

雨や風で外的要因が加わる場合、「エイムオフ」と呼ばれる技法で矢が的の真ん中へ飛ぶように調整している方も多いかと思います。

今回は、風や雨などの外的要因が加わる時のエイムオフの方法についてお話したいと思います。

アーチェリーは屋外で行われることがほとんどのため、練習や試合では快晴無風の日もあれば雨風が吹き荒れる日も多くあります。

快晴無風であれば、通常は的の真ん中を狙えば狙った所に矢は飛んでいきます。
しかし、風が強い場合は右から風が吹けば矢は左へ、左から風が吹けば矢は右へ、風に流れて狙った所から外れた場所に飛んでいきます。

このように、風の影響を受けて矢が流れてしまう状況で、あえて狙いの位置をずらし、風の力を利用して的の中心へ矢を飛ばす事を「エイムオフ」と言います。

エイムオフのやり方

風が吹いている中で射つ時は、出来るだけ風がない瞬間を狙って射つことが良いのですが、どうしても風が止まない時にはエイムオフをして風への対応を行います

風によってエイムオフをする際には、

・風の向き(左右、前方後方)
・風が吹いている位置(シューティングライン、的前、真ん中など)
・風の強さ

などを把握して行わなければなりません。

その為、まず、私は試合や練習の前には必ず会場全体を見回し、風の状況を見るようにしています。

風はほとんど目に見えるものではないので、体感だけではなく、練習が始まる前に吹き流しや周りの木々をよく見て自分の目に見える物で風を把握する為の目印を決めます

目に見える指標を決めることで、体感だけで風に惑わされることが減ります。

次に、プラクティスや最初の練習では通常通り真ん中を狙って矢を射ちます。
これは、風や雨で自分の矢がどれだけ流されるのかを見極めるためにエイムオフをせずに矢を射って様子を見ます。

例)右から風が吹いている時

真ん中を狙って左の9時方向8点に矢が飛んだ場合、エイムオフをして狙う時は風上である3時方向の8点に合わせる

射っていく中で更に風が強くなったり、弱まってきた場合は狙いをずらす幅や位置を調整していきます。

基本的な風に対する矢の流れる方向は下記のとおりです。

・風が右から吹いている
 →矢は左方向へ流れる
・風が左から吹いている
 →矢は右方向へ流れる
・風が向かい側から吹いている(向かい風)
 →矢は下方向へ流れる(風の抵抗を受けるため)
・風が後ろから吹いている(追い風)
 →矢は上方向へ流れる(風に乗っていくため)

雨の時は上下に変わる

また、雨が降る場合は、雨粒がシャフトや羽に付くことで上下の力が加わるため、雨が強い場合だと、矢は狙った位置よりも下方向に飛んでいく事が多くなります。

一定ではない風に対応するために

難しいのが、風は自然のものなので、一定に吹き続けるものではない所です。

吹いてくる場所や季節よっても様々な風の吹き方があるので、エイムオフはかなりの経験値が必要になってきます。

色々な場所で多くの風のパターンを経験することで、自分の今のポンドであればどの辺りを狙えば真ん中へ行くのか、経験値を積む程風への対応力が身についていきます。

黄色以外を狙う難しさ

そして、エイムオフでは通常と違って的の真ん中(黄色)以外の場所にサイトピンを合わせる必要があります
実はこの”真ん中では無い所にサイトピンを合わせる”という事が意外と難しく、サイトピンが合わせられていないためエイムオフが上手くいっていないという場合も多くあります。

そのような場合は、快晴無風の日にあえて真ん中以外の点数を狙ってみる練習や、弓を引き始めてからランダムなタイミングで「右8点の風!」など声をかけてもらい、サイトピンを瞬時にずらす練習などをしてみると、突然の風に対する練習をする事ができます。

経験が必要になってくるエイムオフだからこそ、風の日や雨の日にも少しだけ勇気を持って練習してみる事で、経験を積んでより安心して試合へ望めるようになっていきます。
どんどん挑戦して自信をつけて試合に望んでいきましょう!

\ 2/10~2/12 Dynasty POPUP TOKYO 2ndが開催されます! /

この記事を書いた人


菊地香緒里

プロフィール画像提供:株式会社レオ・プランニング

旧姓:川中。2012ロンドンオリンピック銅メダリスト。70mラウンド元日本記録保持者。
鳥取県出身。近畿大学卒。米子南高校入学とともにアーチェリーを始める。高校生のころ、インターハイ団体と国体で優勝。近畿大学進学後、ロンドンオリンピックで日本女子史上初のメダル獲得を果たす。
卒業後は株式会社ミキハウスに所属し、世界室内で団体優勝、リオデジャネイロオリンピック出場、アジア選手権団体3位、全日本選手権優勝等。退社後はジュニア選手の指導や運営スタッフとして等、競技の普及や発展に尽力している。