こんにちは!菊地香緖里です。
前回は、距離別の考え方や当てるために意識するポイントについてお話しました。
年間を通しての目標の組み立てなどもお話して来ましたが、
今回は、具体的な試合に向けての「点数の仕上げ方」についてお話したいと思います。
私が考える点数の仕上げ方は、主に
- 技術の準備
- 身体の準備
- 心の準備
この3つの準備をいかに整えるかで点数の”仕上げ”になっていくと考えています。
よく学生でありがちなのが、
“点数を上げたいから試合の直前になって練習を沢山する“という方法です。
正直、これは間違った調整方法です!
なぜ間違った調整方法なのかというと、技術習得は短期間で身につくものではないので、直前で練習量を増やしても身に付けれる部分はかなり限られてくるからです。
むしろ、直前でいきなり運動量が増えることで身体の負担も増えるので、残念ながら疲れを蓄積した状態で試合を迎える事になります。
その結果、安定しない射形+疲れた身体 で試合を迎えると…点数は出せるでしょうか?
なかなか難しいですよね。
では、どうすれば万全の状態で試合を迎えられるのかというと、「準備」が大切です。
技術の準備
私は、試合の直前(1週間前~前日)は”追い込んだ練習をする期間“ではなく、”体調を整えて万全の身体の状態で試合を迎えるための準備期間“だと考えていました。
この試合直前1週間を身体を整える準備期間にする為には、追い込む練習は試合の1週間前までの期間でしっかりと行っておきます。
技術習得のための反復練習やチューニングなどの「①技術の準備」はここまでに終えておく必要があると考えます。
身体の準備
「①技術の準備」を終えたら、次は「②身体の準備」に入ります。
「身体の準備」とは、体調管理の事です。
試合直前の練習では、習得した技術を確かめながら、軽いランニングなども並行して体力が落ちすぎないようにキープしつつ、”疲れすぎないように練習する事”を意識して行っていました。
また、風邪を引かないようにエアコンの温度設定なども気をつけ、しっかりと健康的な食事を摂るように気をつけていました。
バランスの良い食事や質の良い睡眠をとる事は疲れた身体を回復させる大切なポイントです!!
どうしても筋肉の疲労が取れない場合はアイシングやストレッチを多めに行ったり、接骨院などで整えてもらう事もメンテナンスとして取り入れていました。
練習の時だけでなく、生活面でも少し試合を意識して生活する事で、身体の準備を整えていきました。
心の準備
そして、技術の準備、身体の準備が整ったら、あとは「③心の準備」です。
アーチェリーは技術だけでなく、メンタルのコントロールがとても重要になってくるスポーツだと思っています。
試合に向けて、直前の1週間では「試合に望む準備は十分に整った」と気持ちを落ち着かせ、「私は出来るんだ」と自信を持つ事が大切です。
・・・とは言っても、実際にはどんな準備をすれば整うのかは人それぞれ思考も違うし、自信の度合いは外からは見えにくい部分でもあるので、準備の内容は人それぞれに全く違うかもしれません。
具体例として、実際に私が取り入れていた心の準備をご紹介しますので、参考になれば嬉しいです。
例1:イメージトレーニング
夜寝る前に目を瞑った状態で、試合で最高のプレーをしている自分を想像します。
-
1
- 試合のアナウンスが入る
- 「競技開始3分前です」「まもなく○○大会の競技を開始します」
-
2
- 椅子を立って弓を持つ
-
3
- シューティングラインに入って射ちたいイメージで行射をする
- リズムや、ポイントなど自分のベストのイメージ
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4
- 矢が10点に入る
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5
- 次の矢をつがえる
これを頭の中で36本(6エンド)射ち終えるまで繰り返しイメージします。
途中で寝てしまってもOKと思って、「最高のプレーで射っている自分」のイメージを頭に刷り込んでいました。
例2:自分へのポジティブな声掛け
試合直前の1週間は、出来るだけマイナスな言葉を発さないようにして、「出来る」「大丈夫!」「いい感じ!」など、前向きな言葉で発するように気をつけていました。
試合前にどうしても不安や焦りがある時はマイナスな気持ちになりがちでした。
そんな時でも出来るだけ気持ちが落ちないようにするために、自分の口から出る言葉はプラスの言葉に変換するように意識して過ごしていました。
“言霊”という言葉もあるように、自分の口から出る言葉は”自分の身になるもの“と思う部分もあるので、「できる(ようになる!)」との思いも込めて、自分への前向きな言葉掛けを意識していました。
以上のような、自分に自信が持てるようにするための心の準備を行って、攻める気持ちで試合に望んでいました!
この3つの準備が整ったら、点数の仕上げは完成です!
あとは自信を持って試合に挑むのみです!
頑張ってきた自分の努力の成果を出し切れるよう、準備を整えて挑戦していきましょう!
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プロフィール画像提供:株式会社レオ・プランニング
旧姓:川中。2012ロンドンオリンピック銅メダリスト。70mラウンド元日本記録保持者。
鳥取県出身。近畿大学卒。米子南高校入学とともにアーチェリーを始める。高校生のころ、インターハイ団体と国体で優勝。近畿大学進学後、ロンドンオリンピックで日本女子史上初のメダル獲得を果たす。
卒業後は株式会社ミキハウスに所属し、世界室内で団体優勝、リオデジャネイロオリンピック出場、アジア選手権団体3位、全日本選手権優勝等。退社後はジュニア選手の指導や運営スタッフとして等、競技の普及や発展に尽力している。